事例1.  針テラス ベリーファーム


重油代の大幅なコストダウンに成功。思いがけない効果も。

奈良県でももっとも寒く、冬場は最低気温が平均マイナス5度という地域で、ハウス暖房に使う重油代が大きな負担になっていたと語る小西通雄さん。それが昨年1月にファイアーハスクバーナーを導入してから状況は一変。

「夕方、点火して帰ると朝の外気温が低くても、ハウス内の温度は8度~10度に保たれています」。これによって重油代が大幅にコストダウンできました。また温度をキープできるため天敵による害虫駆逐も可能になり、農薬散布の回数も激減。燃料の完全燃焼で発生するCO2をハウスに戻して、光合成に適したハウス内環境をつくりだしています。「クリーンなサイクルのなかで、美味しいイチゴの栽培ができ、期待以上の効果がありましたね」


関西最大級の観光農園

針インターチェンジに隣接し、抜群のアクセスを誇る、イチゴ観光農園としては関西最大級の施設。高設土耕システムの3000㎡と、立体7段式水耕システムの1000㎡の2つのハウスからなり、12~6月までの長期間、食べ放題を実施。

3種類のイチゴを栽培

2棟合わせて4000㎡の広大なハウス内では、とちおとめ、あきひめ、アスカルビーなど香り高くジューシーなイチゴが栽培されている。初夏にはブルーベリー狩りもでき、こちらはバーベキューとセットで楽しむこともできます。

エコ・リサイクルにトライ

もみがらによるバイオマスエネルギーを利用して、資源を循環させる、環境に優しいハウス。ファイアーハスクを燃焼させて出る灰は、米づくりをする知り合いの農家に提供し、土壌改良に使用してもらっています。



■針テラス ベリーファーム

奈良県奈良市針町385

http://www.agrifarm.jp/

事例2.  中西農園


ファイアーハスク燃焼後の灰で土壌改良し、収穫量も増量。

奈良盆地東側山腹に位置する旧都祁(つげ)村。昼夜の温暖差が大きく、米づくりに適したこの地で代々農家を営む中西哲也さん。「針テラス ベリーファーム」からファイアーハスク燃焼後の灰をもらって、畑に蒔いています。「機械で肥料散布すると田んぼの真ん中まで飛ばないので、以前からその部分にもみがらをおいて燃やしていました」。面白いことにもみがらを燃やした場所だけ、稲が収穫を迎えても緑色を保っており、ファイアーハスクの灰を蒔いた場所では、より濃い緑になるとか。「それは稲が元気な証拠。だから最後まで養分をよく吸い、ひとつの株の中で米粒が少しずつ大きくなる。その結果、収穫量も1割ほど増えたんです」。

 


自然とこの地での米づくりを守りたい。

日本の原風景がそのまま残る、のどかな都祁の里。15年前、この風景を守るために農業を継ぐ決意をした中西さん。「米づくりで出るもみがらを燃やし、藁も牛の飼料に。リサイクルは農業の本来のカタチ。そこにもう一度立ち返ろうと」

温暖差ときれいな水が育む、自慢の米。

奈良の大和川・木津川の分水嶺である大和高原・都祁の村。標高から生まれる昼夜の寒暖差、きれいな水と恵まれたこの地で、中西さんが丹精込めて育てたコシヒカリ。「針テラス」やネットで直販し、リピーターを増やし続けています。

奈良県唯一の酒造好適米奨励品種。

酒米として秋津穂、露葉風も栽培。露葉風は、現在全国で奈良県のみが奨励品種として採用し、栽培されています。その栽培が困難なことから「幻の酒米」でしたが、県内農家の協力によって、手に入りやすくなりました。



■中西農園

奈良県奈良市蘭生町1111-2